「積み立てNISA」と「NISA」について

こんにちは。2階小島です。前回はイデコの話をしましたが今回は現在の世界情勢を交えて積み立てNISAとNISAの話をします。私は経済学部出身の看護師でファイナンシャルプランナーの資格も持っております。

目次
①現在のインフレと円安の理由
②インフレはお金にどう影響を与えるか
③積み立てNISA、NISAについて
④おすすめ動画
大変長いですが③④がまとめになりますので、③④をみていだければよいです。

①現在のインフレと円安の理由
今、日本では円安が話題になっています。円は2021年12/31には115円でしたが、このブログを書いている10/14には147となっており、27.8パーセントの上昇になっています。では何故これほどの円安になっているのか簡単に解説します。

2020年のコロナウィルス大流行により世界経済は大混乱しました。この混乱を収めるために各国は金融緩和を実施しました。具体的には銀行が中央銀行から資金を借りる金利を0%にし、企業が資金を調達しやすくしたのと、企業が発行している社債を中央銀行が無制限に買うことで、資金の供給不安をなくしたこと、また失業者に対する失業手当以上の資金の供給や、失業を防ぐための雇用調整金などのばら撒きを行いました。その結果、世界に供給された資金は図1のようにコロナ前の2倍近くになりました。これにより世の中に資金が溢れ、コロナ下でも深刻な不況が起きずに済みましたが、世界中の資金の量が倍近く増えたことで激しいインフレになりました。簡単にいうと今まで世の中全体に10000円しかなかったのが20000円に増えて、このお金がすべて必要な物品の購入にあてられるとします。必要な物の量が10個しかないとしたら、物の価格は1000円から2000円に上がります。これが起きました。
図1

もう一つはコロナ下における脱炭素宣言によって原油への投資が凍結されたところにロシアのウクライナ侵攻がおき、ロシアの原油と天然ガスが市場に出回らなくなり、エネルギー価格が激しく高騰したこと。更にコロナ下での人足不足による輸送コストが増えたことで、その分物の価格が上がりインフレに拍車をかけました。

一般に経済学では適度なインフレは経済にとってプラスとされています。今年度ノーベル経済学賞をとったベン.バーナンキは2%のインフレ目標が好ましいと説明しています。どうしてインフレが好ましいかを簡単にいうとインフレによってその国全体の売上が増えることで税金が増え、国の財務は健全性を保つからです。しかし過度なインフレは人々の給料の伸びが物の価格に追いつかず、必要な物を購入できない状態になったり、貯蓄の価値が一気に減ってしまったりマイナスだとされます。過度なインフレは上記のようなスタグフレーションというものを引き起こすため、インフレ時には各国中央銀行は過度なインフレを抑制するために二つの対応をします。それが利上げと金融引き締めです。

今年初めに米国の物価指数が前年比8%となったのを受けて、米国の中央銀行であるF RBが3月から利上げ、9月から金融引き締めを開始しました。要はコロナのときに行った上で書いた金融緩和と逆のことを行うと発表したのです。

それでFRBは金利を最終的に4.5%以上に上げると発表しました。これはどういうことか簡単にいうと、市中銀行が中央銀行からお金を借りるには4.5%の金利を払わないと借りれなくなるということで、国は国債を発行して世の中からお金を借りようとするときには銀行が中央銀行からお金を借りて国債を購入しようとしても4.5%以上利回りがないとメリットがないため米国債が4.5%より上の利回りでしか発行することが出来なくなるということです。銀行にお金を預ける側にしても利息が4.5%ないと国債を購入した方が得なので、銀行金利も4.5%近くになります。

日本でも物の値段は上がっていますが、まだ過度なインフレが進んでいないため金融緩和継続中です。日本の金利は0%(正確には-0.5%)で日本国債を買ったところで、リターンはほとんどありません。貯金しても利息はほとんど0ですよね? ならば、日本円を売って米ドルにして、米国債を買って寝かしておいた方が利息が4.5%もついて得だと誰でも考えますよね?
そういうわけで、みなが円を売ってドルを買うようになり今の円安となっています。2022年9月で米国の利上げは3%まで来ていてあと0.75、0.5、0.25と利上げし4.5%まで上がる予定なので、まだまだ円安になる可能性はあります。日本もいずれは利上げすると思いますが、日本はインフレになりにくい経済構造(20年ずっとデフレ)をしているため(図2)、大胆な利上げは出来ません。よってアメリカが利下げをしない限り円安は収まらないでしょう。FRBが23年は利下げしないと言っているので、少なくとも現日銀総裁の任期満了である23年の前半までは円安は続くはずです。これが現在の円安と世界経済の背景です。
図2(あおりんごの経済と金融より)

②インフレはお金にどう影響を与えるか

前置きがかなり長くなりましたが、実は日本でもコロナで大量にお金がばら撒かれており、物の値段がいつ今以上に値上がりしてもおかしくない状況にあります。つまりただお金をもっているだけではお金の価値が目減していく下地はできているというわけです。実際に今年から徐々に物の値上げが行われています。私はよくコンビニを利用するのですが、10月から一層値上がりしたと感じます。(図3 10月からすべての食料品において10%くらいの値上げが行われています)

一度値上げされた商品が値下げされることは今までの歴史からまずありません。

インフレの具体的な例としてビッグマック指数があります。2000年と2020年で米国と中国の価格が2倍になっています。(表1)
図3

表1(The Economist 「The Big Mac index」

それではお金の価値を減らさないためにはどのような方法があるか考えてみます。
1.貯金→インフレ時には利息がつくようになるため、少しはお金が増える。
2.土地、建物購入→土地は限られた資産でありインフレ時に値上がりする。
3.金購入→金も限られた資産であるためインフレ時には値上がりする。
4.株→インフレにより見掛け上の企業の利益は増えるため株価はあがる。ちなみに私、宅地建物取引士の資格も持っておりますが、土地の取引をしようとは思いません。理由は手数料がかかったり、どの土地が高く売れるのかその業界にいないとわからないことが多いと思うからです。また、人口減少が続く日本において土地の需要は減り続けるはずで、値下がりリスクまで孕んでいると考えています。つまり素人には簡単には手を出せない世界だと思っているからです。
株に関しては前回、興味深いグラフをブログで使ったので、再び使わせてもらいます。(図4)今年は米国の利上げにより米国株がかなり下がっていますが、下がっている状態でも過去20年間でs&p500指数は10倍になっています。

図4(SBI証券HPより)

米国株がこのように右肩上がりになる理由はインフレをしっかりと反映しているからなんです。インフレになれば、物の値段があがり売上も増え、見た目上の利益も増え、株価もその分だけあがります。
加えて、世界中から積み立ての資金も入ってきます。またやはり先進的な企業は米国から生まれてきます。米国がNo.1である限りこれからも株価は右肩上がりだろうと思います。
逆に日本はバブル崩壊からデフレになり、物の値段は全く上がりませんでした、株価もバブルの高値を超えていません。その原因はアベノミクスやコロナでの金融緩和で日本もたくさんのお金がばら撒かれましたが、それが消費に回らず、企業や家庭の貯金に回ったためです。今回は世界的な資源高と円安に釣られ(ウクライナ戦争と世界中でのコロナ金融緩和とその後の利上げのため)日本も資源高を価格転嫁しなければいけなくなってきました。
今まで日本はデフレのため20年前のお金と去年までのお金の価値は大して変わりませんでした。しかしこれからは日本国内においても貯金しているだけではお金の価値が減っていく状況になっています。

3 積立NISAとNISAについて

②でも説明しましたが、ただ貯金しているだけではインフレ下ではお金の価値は減っていきます。お金の価値を減らさないための方法として株式投資があることをすでに説明しました。前回のブログではidecoに関して説明しました。これは所得税が返ってくるため、1番のオススメです。(前回のブログを参照にしてください)
今回は積み立てNISAと新NISAに関して説明します。2024年から新NISAがはじまります。(図5)積み立てNISAは今までと同じ形式で継続します。積み立てNISA、新NISA(現NISA)は所得税は返ってきませんが、投資利益に税金はかかりません。通常の株式は売却時の利益の20%、配当金の20%を税金として支払わなければいけません。積み立てNISA、新NISA(現NISA)はこれを払わなくてもいいんです。
図5

図6で新NISA、積み立てNISAをそれぞれ満額投資した場合のシミュレーョンを作成しました。
図6 新NISA 積み立てNISA シミュレーション

成長率3%、5%、13%で作成しましたが、13%成長時のリターンは半端ない金額です。(原資800万で8420万まで増えます!税金も1684万の節税となります!)これは夢物語ではなく実際に20年前に米株に投資した場合のリターンと同じです!といってもアメリカのインフレ率は通常時2.5~3%で推移しているので(図7)3%〜5%で考えるのが現実的な数値かなと思います。
図7 アメリカのインフレ率

株式投資が怖い、知識がない、と敬遠されている人は多いと思いますが、米国株のs&p500(図4)(eMAXIS Slim 米国株式という積み立てを多くの人がやっています)という指数に投資すればリスクを最小限にすることができます。知識がない人はこの指数を積み立てで投資していくか、新 NISA(現NISA)でまとめて投資するのがベターな投資戦略だと思います。
米国はウクライナ戦争下でも景気のいい資源国であり、(欧州の景気はぼろぼろ)いずれ起こるだろう台湾、中国リスクでも、はじめは株価が下がったとしても最終的にそこまで大きな影響を受けないと思われます。s &p500指数はそのような米国が成長し続ける限り上がる指数であり、インフレをしっかりと反映している指数であります。
はじめに書きましたが、現在米国はFR Bがインフレ対策のため政策金利の利上げを行っており、その副作用で株価が下落しています。(2022年10月21日段階でs&p500は高値から22.1%下落しています)利上げは2023年初めまで行われ、利下げは2023年には行わないとFRBは言っています。つまり、2023年も株価はそこまで上昇しないかむしろ下がる可能性もあるということです。しかしいずれどこかで利下げが始まれば株価は右肩上がりに上がっていくことが予想されます。そうであるならば今から2023年にかけてが投資の始めどきであると思い、投資するならば押さえなければいけない積み立てNISA.NISAについて説明しようと今回ブログを書かせていただきました。
積み立てNISAとNISAどちらをやればいいかということですが、要は投資に回せる余剰資金の差だと思います。年間40万と年間120万の違いです。
ただし、インデックス投資のような長い期間で結果を出すような投資は積み立てNISAに分がありますし、毎期安定配当を貰いたい方や、5年で資産を2〜3倍にしたいというリスクをとってもいい方はNISAをやった方がいいので、どちらがいいとは言えないです。ただ何度もいいますが、投資を始めるならば必ずNISA、積み立てNISAからスタートした方がいいです。そして始めるならば誰かの意見を鵜吞みにしないで自分で調べ納得して始めるようにしましょう。

投資は自己責任でお願いします

④積み立て NISA、NISAを始めるにあたって、わかりやすい動画
「ミニマリストゆみにゃん SBI証券始め方」
「リベラルアーツ大学」

コロナが収まりつつあり、世界中が開放的でハッピーになれるかと思ったら、世界情勢はコロナ下と同等の混乱と閉塞感に包まれています。戦争が終わり本当の意味での新世界が訪れるのを切に願っています。